栄養ばっちり!宅配の腎臓病食で体調を整え、元気をもらおう!
腎臓病の食事療法は、「制限しなければならない成分がたくさんある…」というイメージが強いのではないでしょうか。
ダイエットの食事制限のように、摂取カロリーを減らせばよいという単純なものではありません。
たんぱく質など一部の成分だけを選んで制限しなければならないので、栄養成分や含まれている食材に関する知識も必要なのです。1食あたりどのくらい摂取して良いのか、そのために食材をどのくらい使うのか、細かく計算する必要があります。
まずは腎臓病食の基本と言える、制限しなければならない成分に関する情報を紹介しましょう。
腎臓の疾患を持つ方が特定の成分の摂取量を制限する必要があるのは、ひとえに腎臓に負担をかけないため。
以下で紹介する成分は、過剰に摂取することで腎臓の機能を使い過ぎてしまい、負担となってしまう可能性が高いものです。
腎機能の低下を指摘された方が、真っ先に制限すべきなのはたんぱく質です。
たんぱく質は体の細胞を構成する成分として重要ですが、摂取し過ぎると尿素窒素などの老廃物となって血液中に溜まってしまいます。
血中の老廃物は腎臓がろ過して尿として排出しますので、老廃物が溜まればたまるほど腎臓が過剰に働かねばならず、疲れ切ってしまうわけです。
たんぱく質の摂取量は、腎機能が50%以下にまで落ちている場合、血中のクレアチニン量が2㎎/dl以上になったら、1日30g〜40g程度に抑えるよう制限されます。
たんぱく質は、肉や魚、卵はもちろん、ご飯やパン、芋や野菜などにも含まれており、1食につき10g以下と考えると少々厳しい制限と言えます。
逆に、人工透析治療を行っている方の場合は少々制限が緩やかになり、1日60g程度の摂取が可能になります。
具体的なたんぱく質の量
たんぱく質を制限するとは言っても、これまでの食事からどの程度制限すればいいかわかりにくいものです。
具体的に、どのくらいの量を摂取できるのか、食材に含まれるたんぱく質の量を計算してみましょう。
食材に含まれるたんぱく質の含有量
たんぱく質は、しらす干しやイワシの丸干し、かつおぶし、煮干しなど、干した魚に特に多く含まれています。
たとえば、イワシの丸干しは100g中に32.8g、かつおぶしは77.1gとかなり高いことがわかります。
ただ、こういった乾燥した食材は水分量が少なく、食べる量もそれほど多くはないといえます。
また、日本人がよく食べる食材のマグロの赤身は26.4g、豚ヒレ肉は22.8g、鶏のささみは23.0gとなっています。
主食である白米は2.5g、食パンは9.3gと、意外と白米の含有量は低めですが、毎食食べているとどうしても摂取量は多めになってしまいますね。
逆に、含有量が少ないのは、にんじん0.5g、ピーマン0.9gなど、緑黄色野菜ならあまり気にせず摂取できるようです。
たんぱく質の摂取量を50g程度に抑えるには、パン食よりご飯、干した魚より肉類、緑黄色野菜を増やすなどの工夫が必要になってきます。
また、同じ魚や肉でも、部位が変わればたんぱく質の含有量も変わってきますので、どの部分を選ぶかなどでも摂取量を抑えることができます。
塩分も血液中に増えすぎると老廃物として腎臓がろ過して排せつすることになります。食塩の過剰な摂取は腎臓に負担をかけてしまい、ますます機能低下を招いてしまいますので、できる限り減塩した食事を心がけるようにしましょう。
1日の塩分の摂取量は食塩に相当して6gまでに抑えることが基本。1食は2g以下に制限すると、腎臓疾患だけではなく、高血圧などほかの疾患の予防や改善にも効果があります。
塩分を控える工夫
塩分を抑えるには、やはり調味料を控えめにするのが手っ取り早く効果的です。
しかし、あまりに薄味だとメリハリがなく食欲も失せてしまいますので、塩分以外の調味料で工夫することが有効です。
たとえば、塩の代わりにお酢を使用するのがおすすめです。
お酢の酸味が苦手な人もいますが、最近ではさまざまな種類のお酢があり、酸味が控えめでまろやかなものもあります。
砂糖とお酢を混ぜ合わせて調味料にしたり、しょうゆに混ぜて酢醤油にすれば、塩分を控えてもおいしく健康的な食事が楽しめます。
腎臓の機能低下が進み、血液中にカリウムが多くなってくると、カリウムの摂取制限を指示される場合があります。
カリウムは野菜や果物、海藻などあらゆる食品に含まれていますが、茹でたり煮たりすることで、ある程度まで除去することができます。
生のままで食べることはできるだけ避け、煮たり茹でたりした場合も煮汁やゆで汁を摂取しないようにしましょう。
カリウムの摂取量の目安は、体重1㎏あたり1,500〜2,000㎎程度と言われています。
食材に含まれるカリウムの含有量
カリウムを多く含む食材は、干した昆布やわかめなどで、100g中に5300mg程度含まれています。
野菜の中で含有量が多いパセリでも100mgなので、海藻類の含有量がどれほど多いかがわかりますね。
ただ、これらも乾燥させてあるものや、それほど量を食べないものなので、摂取量を控えることはそれほど難しくないでしょう。
同じように、干してある食材の切り干し大根やドライフルーツなども含有量が高めなので、水分が少なくて成分が凝縮された食材を食べ過ぎないように注意しましょう。
腎機能の低下がかなり進行し、人工透析を行わなければならない病状になると、リンの摂取制限が必要となってきます。
リンは体内でカルシウムと結合して骨を作る性質がありますが、腎機能が低下して血液中の余分なリンが体外へ排出できなくなってくると、すでに骨として作られているカルシウムとリンが無理やり結合しようとして骨や歯を弱くしてしまいます。
リンは豆類やナッツ類、チーズなどの乳製品、ゴマ、するめ、卵黄、小麦などに多く含まれていますが、病状によって制限する量などが違いますので、医師に確認してみましょう。
食材に含まれるリンの含有量
リンの含有量が多い食材は、しらす干しやイワシの丸干し、煮干しなど、たんぱく質と同様、干した魚が多いです。
通常の食事ならば、栄養が豊富で摂取を推奨されるような食材ですが、その分、病気の時には影響が出やすい食材でもあるということなのですね。
リンの含有量が少ない食材は、炭水化物や根菜などです。
食べ方の工夫で摂取量を抑えよう
どんな食材も食べ過ぎれば成分の摂取量が多くなってしまうので、適量を守ることは必要ですが、制限しなければいけないからといって、食べるものが少なくなってしまうわけでもありません。
制限すべき成分の多い食材に気を付けて、しっかり栄養を取って食事も楽しめるよう、メニューや食材、調味料、調理方法などで工夫してみましょう。
ただ、インスタント食品や外食の場合は、摂取量を把握したり調整することが難しいので、できるだけ自炊をしたり専門の宅配業者などを利用することをおすすめします。
腎臓病の方向けのメニューがあれば、摂取量やバランスも考えられていますし、おいしくて飽きにくいメニューを考えてくれていますので、手軽においしく食事ができます。